② 飲食店への思い

調理師学校での主たる業務として、飲食店の社員研修を多数担当しました。
研修では主に「新入社員研修」を担当していました。
とは言っても、私自身は調理師ではありませんし、飲食店での勤務経験もありません。 そこで、調理師学校での年間教育 カリキュラムをベースとして、研修内容を
組み立てていくことにしました。 包丁の持ち方、切り方、鍋の使い方はもちろん、
服装や配膳、接客サービス、テーブル セッティング、ワインサービス、食器の知識、
料理の盛り付けや歴史等、幅広く内容を 盛り込みました。
①のFCもそうですが、何度も講習実習を 繰り返して見ていると、不思議なことに
技術習得は無理としても、知識だけは確実に身についていきます。
また、中級編、上級編も後程担当することになり、コースメニューの組み立て方や
会場の演出方法、ライティング、計数管理、メニューブックの作り方、年間催事計画、
人材教育の計画立案など、経営に関する内容も、多数担当することになりました。
その際に、様々な分野の講師を専門家として招聘し、授業のみならずプライベートで
いろいろお話を聞かせて頂けたのが、担当者としての幸運であり、この仕事の魅力だと
つくづく感謝しております。

そうしているうちに、仕事で街中の飲食店にお伺いすることが多くなり、社員教育が
一般的にはほとんどなされていないことに気づいたのです。 オーナーや料理長に
進言しても、 「ウチは現場主義だ。見て覚えるんだ。」との一点張り。
ここで、敢えてメッセージをお届けしたいと思います。
教育とは、受けた者にはその中身が分かりますが、 受けたことの無い者には、
その中身の存在すら分からないのです。

ある全国チェーンの宿泊施設の社員研修、しかも経験10年超の社員向けでの時のこと。 先方の担当責任者のぜひともとの希望で、「玉ねぎのみじん切り」をすることになりま した。当然、参加者からはブーイングが起こります。「俺達をなめているのか?!」と。 しかし、実習を始めてすぐに、私の目は点になりました。

「基本が出来ていない、、、」

玉ねぎのみじん切り(半分)の調理師学校での指導内容は、下記の5つのポイントです。

① 調理台に向かって右足を後方45度に引き、立つ。(右利きバージョン)
② 玉ねぎに縦に10回程筋を入れる。
③ 次に向きを変えて、横に8回程筋を入れる。
④ 上から等間隔で切っていく。
⑤ 最後の芯の部分は残しておく。

実は、講師の講習の前に、講師から、 「じゃあ、一度いつもやっているように
切ってみて下さい」と指示がありました。 やたらめったらと切り刻む人。
おおまかに切った後に、包丁全体で細かく叩き切る人。 いきなり縦に切り込んで、
後はまな板の上に広く広げて切っている人。 みんな、「どや顔」していました。

その後、理由を説明しながら講師が実演してみせると、 参加者の表情が一変しました。 こちらの方が、明らかに「短時間」で「効率良く」「均一に」「無駄なく」 みじん切りを作り上げることが出来るからです。
参加者に聞いてみると、 「こんな話、聞いたことなかった」との返答。

教育とは、「知っていること」に意義があると思います。
「知っている」と、それを使うか活かすかどうかは判断できますが、
「知らない」と、使うことも出来ないのです。
ちなみに、上記のみじん切りを応用してチャーハンを作れば、
「玉ねぎの歯ごたえを感じるチャーハン」や、
「ほんのりと甘味の強いチャーハン」 「具材をしっかり感じるオムライス」などを
作ることが出来ます。

上記はほんの一例ですが、社員研修や商品開発、店舗運営、接客サービスなど、
基本を覚えてもう一工夫すれば、先ずは顧客満足度が高まり、さらに
売り上げ アップを図れることは、たくさんあると思います。
これを事業として展開し、街中の飲食店の活性化と売り上げアップのお手伝いを
することが出来ればと、切に願っております。